今回は鎌倉・材木座海岸まで歩いて3分という立地にある『KAFKA』さんのご紹介です。
オープンは2015年11月1日。表参道にある『Double』（ドゥーブル）で副店長を務めた菖蒲さんが独立してオープンさせました。
『KAFKA』さんのある材木座は海に面した街で、住宅街の中に神社やお寺、海沿いにあるカフェなどが所々にある鎌倉の中でも比較的静かな街です。
サロンは少人数ながらも29坪あり、南向きの広い窓から太陽光が気持ちよく入ってきます。
元々釣具店だったところ改装して美容室にしましたが、その頃にあった壁面のタイルなどをそのまま生かし、とてもおしゃれで落ち着いた雰囲気になっています。
まず最初にアシスタントの福川さんにお話を伺いました。
福川さんは愛媛県出身の22歳。河原ビューティモード専門学校を卒業後、代官山のサロンに1年勤め、『KAFKA』さんに入社しました。
元々鎌倉という土地も、『KAFKA』の作品も好きだった福川さん。まだ入社してから4ヶ月とのことです。
ーー鎌倉での生活はいかがですか？
「ぼくの地元も自然の多い環境だったので、まだ慣れないこともありますが、鎌倉の雰囲気は落ち着きますし、生活しやすいです」
住まいはサロンから自転車で10分程度。鶴岡八幡宮の近くに住んでいるそう。
「鎌倉の物件を初めて見た時は都内の物件（以前は下北沢に住んでいた）とそんなに家賃が変わらないのでびっくりしました。いろいろ探すと自分の条件に合う物件があったので、今はそこに住んでいます」
ーー実際に働いてみてどうですか？
「技術についても全ての動きにどんな意味があるのか細かく教えて頂けるので、今までの技術に加えて色々なことが学べるのが楽しいです」
「例えば、今まではドライの後、ブラシを使ってスタイルの形を作ることが当たり前だと思っていたのですが、ハンドブローでしっかり形を作る技術など自分の手だけでスタイルを作る技術に驚きました」
「ここではそういった基礎的なこともしっかりと学べるのですごく自分の身になります」
ーー入る前と後でギャップなどありませんでしたか？
「なんかあるかな…。正直そんなにないですね。菖蒲さんはアシスタントの僕にも意見を聞いてくれて、意見も通りやすく相談して決めてくれます。いいことしかない気がします」
「大変なことがあるとすればモデハンですかね。こっちだと捕まりずらい。都内のほうがサロンでモデルをやっている子もたくさんいるし、大学もたくさんあるから捕まりやすかったのですが、さすがにこっちまで来れる子は多くないです。また1から探さないといけないので大変なことはそれくらいですかね」
ーー先輩のスタイリスト・武田さんはどんな方ですか？
「武田さんは自分のだめなところはちゃんと言ってくれるし、なぜだめかというところもしっかりと説明してくれます。それと次の自分の動きや流れなども細かく教えてくれるので、少しずつ新しい環境にも慣れることができました」
物腰柔らかく、温和な印象の福川さん。最近は鎌倉での生活にも少しずつ慣れ、朝は練習・夜はハントという1日になっているそうです。
先輩方は「頑張り屋さんで素直な性格。一緒に働きやすい」と福川さんについて教えてくれました。
次にスタイリストの武田さんのご紹介です。
武田さんは宮城県亘理郡の出身。仙台理容美容専門学校を卒業後、『Double』に就職が決まり東京に出てきました。
『Double』では菖蒲さんの専属アシスタントとして8年間勤めていたそうです。
『Double』でスタイリストになるか『KAFKA』でスタイリストになるか考えた末、お世話になった分を返したいという思いなどもあり、菖蒲さんについて行くことに決めたそうです。
鎌倉に移住直後は知り合いもおらず、よく東京に遊びに行っていたとのこと。
そんな状況も1年経てば、近所のパン屋さんやカフェなどを通じて、異業種の友達や知人がたくさんできたようです。
「前は美容師同士の交流がすごく多かったんです。でもこっちに来て異業種の人だとか、すごいフレンドリーだし、みんなフットワークが軽い。そういうのはすごいと思う」
先日は鎌倉で知り合った人たちが主催した青空マーケットのイベントに誘われ、美容師として参加したそう。
「そういうのもすごく刺激になります。物の見方が変わったと思います。柔軟になれたように感じますね。そのイベントからも知り合いが増え、お客様として来てくれていますよ」
カフェなどの飲食店や、地域のイベントが多い鎌倉ならではの繋がり方のようです。
ーー鎌倉に住んでみてどんなところが魅力だと思いますか？
「海や自然が近くにあって、とても空が広い！鎌倉に来て思ったのは風景を見るだけで癒されるということ。知らなかった世界が広がりました」
「それから材木座にあるカフェやパン屋さんも美味しいところが多いです（笑）」
ーー働いている時のお店の雰囲気はどうですか？
「すごくいいです。何より南向きの大きな窓から日差しが入ってくるのがものすごくよくて。それだけですごく気持ち良く働けています（笑）」
「それと、いまはスタッフ数が少ないから、より自分で考えてお店をよくしていかないといけない。お店に対するスタッフの意見を、菖蒲さんは尊重してくれるので話が通りやすいですね」
「また練習でもわからないことがあれば、人数が少ないからこそ近くにいる菖蒲さんがすぐに教えてくれます。そういうものすごくいいなと思います」
ーー一緒に8年間やってきた菖蒲さんは武田さんから見てどんな方ですか？
「Doubleにいた頃はめっちゃ怖かったんですよ！今だから言えるけどめっちゃ怖くて（笑）」
「でも、できないからと言って見捨てない人で、すごく練習も見てくれるし、色々なことを柔軟に考えてくれます。何にも考えてないよーという空気は出てるかもしれないけど（笑）、実はすごく色々なことを考えてくれる先輩だなと思います」
「ただ、技術に対してはいまも厳しいです。やっぱりスタッフにお客様を任せられるようにしたいと思っているこそだと思います」
後輩に対してはあえて「ムチ」になることでバランスを保つよう意識している武田さん。またその明るい性格からサロンのムードメーカー的存在にも見えました。
菖蒲さんのことをよく知っている存在としても、とても頼もしい先輩です。
武田さんいわく、「ムチ」ばかりではなく、たまに「アメ」にもなるそうです（笑）
最後にオーナーの菖蒲さんにお話を伺いました。
菖蒲さんは静岡県浜松市の出身。17歳の頃から地元の美容室で働き18歳で上京、窪田理容美容専門学校で学びます。
当時就職先も探しており、業界誌で見た作品に興味を持ち連絡をしたところ『HEARTS』『Double』の現オーナー・山下浩二さんだったとのことです。
それがきっかけで『HEARTS』のオープニングスタッフとして働くことになります。
その後、独立するまでの約20年間『Double』に勤め、副店長だった『Double』を退職。鎌倉に『KAFKA』をオープンしました。
ーーしかし、20年間も原宿・表参道近辺で美容師をしていたのに、なぜ鎌倉で独立したのですか？
「ひとつは鎌倉という街のブランドですね。鎌倉は観光地として有名ですし、雑誌・テレビなどでも取り上げられることも多く、ファッション関係の方やクリエイターの方達が近年湘南エリアに移住し始めるほどのブランド力があります」
「原宿・表参道エリアとはまた質が違いますが、等しくおしゃれな街というイメージがありました」
「それから自分がオフの時によく訪れていた場所で、いつかこの近くに住みながら仕事ができたらいいなという思いもありました」
「鎌倉は海や山もあり都心から1時間ほどの距離にありながらも、こんなに自然豊かな場所はなく、仕事とプライベートを両立させることができるのも魅力でした」
「そして独立前、前店のオーナー・山下さんに『美容師としてどこでも通じる』と言って頂けたのも大きなことでした」
「1社だけにいると自分がどれだけの技術を身につけているか分からないものですけど、20年『Double』『HEARTS』でやらせてもらって、そう言ってくださるだけの技術を培うことができました。山下さんにはとても感謝しています」
ーーしかし、ほぼゼロからの場所でどのように集客をしていったのでしょうか？
「基本は口コミと紹介ですね。最初はほんとに近所の方が来てくれたり、お店の道路の前を通る方がHPやInstagramに掲載しているヘアースタイルを見てくれて、少しずつですが広がっていきました」
「この1年は広告などにお金を使うのではなく、まずは来てくれるお客様一人ひとりに信用してもらうことを大切にしていきました。そのためには説得力のある技術を提供して、居心地のいい空間を提供する。またお客様一人にかける時間も多くして、より丁寧に接客すること心がけてきました」
また小さいからこそブランド力を高めることも必要だと菖蒲さんは教えてくれました。その方法も東京で学んできたそうです。
「ブランド力を高めるには、ブレずに統一感を持たせ『KAFKA』のイメージを植えつけていくことが必要になります。そうやって軸を固定することで、全員が『KAFKA』を好きになるわけではありませんが、一定数絶対に好きだと言ってくれるお客様ができます」
「その軸をぶらさずにに継続していくことでイメージが植えつけられ、ブランドが築かれていくんです」
ーー教育をする上で何を大切にしていますか？
「技術は当然大切です。ただ同時に大切なことは、対面した相手がどう思ってるか？、その人に対してどんな気遣いができるか？とか、要は相手の気持ちを読む力だと思うんです」
「とにかく相手が嫌な気持ちにならないよう立ち回るとか、そういうのがわからないと仕事も雑になり、お客様が離れていくよ。ということはしっかり理解させます。場面ごとに、今のどこがだめで、どう対応すべきかをきっちり説明して教育します」
「あとは掃除ですね。やっぱり掃除。掃除はちゃんとして綺麗にしておきましょうと。お客様を綺麗にする仕事でお店自体が汚いというのはやっぱりだめです」
「また、部屋の汚れに気付かないことって、ひいては相手に興味を持てず、その結果相手を気遣うこともできなかったりとか、お店のものを大切にしようと思わないということに、繋がっていきますからね」
もちろんそういう接客業としての姿勢を追求していくだけでは不十分です。
「うちはスタイリストになるための技術レベルを、おそらく標準より上げています。この場所でカット6,000円頂くという意味を、スタイリストには理解してもらわないといけません」
ーー今後お店をどうしていきたいですか？
「お店を大きくしたいというのもあるんですが、自分の目の届く範囲でやりたいというのがあるんですよね。ブランドを築いていくためには共有すべきイメージをスタッフに浸透させていかないといけない」
「そうやって丁寧に少しずつスタッフが育っていけば、自然にお店も大きくなっていくと思います。ただ単純に多店舗展開したいというわけではないですね」
「それより、ぼくは規模が小さくてもいいので、自分の技術やお店のブランド、イメージがちゃんと下の子に伝わり、またその下の子にもつながっていくような、長く濃く続けていけるサロンというものをつくっていきたいとうのはありますね」
オープンして1年の『KAFKA』さん。
ほぼ0からスタートの鎌倉で順調にお客様が増えています。
取材当日も休む間もなく地元のお客様が入り、『KAFKA』さんの実力と1年で築いたものが見えた気がしました。
鎌倉という土地が好きで、入社するのももちろんありです。海が近いのでサーフィンをしたり、お気に入りのカフェでまったり過ごすのもいいと思います。
ただ、そういった憧れだけで鎌倉に来ると、ただただゆっくりな生活になるだけと菖蒲さんは言っていました。
とはいえ、『KAFKA』のみなさんが言うように鎌倉で働き、住むことの良さはたくさんあるようです。同じ志向の人が集まるせいか、近所付き合いも楽しかったりします。
そういった環境を楽しみつつ、妥協なく美容師として向上していきたい方は絶好の環境だと思います。ぜひ一度訪れてみてください。
KAFKA
社員数
4名（男性2名・女性2名）
平均年齢
30歳
坪数
29坪
セット面
5面
店舗数
2店舗（鎌倉材木座・葉山）
お客様年齢層
10-20代：10%
30-40代：80%
50代-：10%
募集
スタイリスト/アシスタント
雇用形態
正社員
資格
美容師免許
勤務地
神奈川県鎌倉市材木座 3-5-23 Nobata Bldg 1F
勤務時間
(平日)9:30-19:00
(土)9:00-19:00
(日)9:00-18:00
給与
①アシスタント
16万円+交通費1万円まで+能力給
②スタイリスト
18万+歩合+交通費1万円まで
昇給
あり／カラー・パーマ・カット（ウィッグ合格）の順で基本給+5,000円
賞与
あり／不定期
※売上状況により無い場合もあり
交通費
1万円まで
福利厚生
雇用・労災保険
各種手当
交通費
休日
毎週月曜、第1/第3火曜
夏期休暇
5日間
冬期休暇
5日間
その他待遇
サロンワーク以外に業界紙撮影、講習会、
ウエディング系のヘアメイクなどもあり。
有休、慶弔休暇、社内・社外講習会等あり。
就職祝い金
無し
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